セイヨウタンポポ　（西洋蒲公英）
Taraxacum officinale
アカミタンポポ　（赤実蒲公英）
Taraxacum laevigatum
別名：キレハアカミタンポポ（切葉赤実蒲公英）
キク科　タンポポ属

セイヨウタンポポは、道端、空き地、公園などに生え、茎の高さは１０〜２０センチになるヨーロッパ原産
の帰化植物。葉腋から中空の花茎を伸ばし、直径３．５〜５センチの黄色の頭花を１個つける。頭花は
すべて両性の舌状花からなる。総苞外片は下方に反り返る。葉は根生し、羽状に深く切れ込むが
裂け方は変化が多い。明治時代に食用として栽培するのに持ち込まれ、全国に広まったという。
受粉しなくても単為生殖によって結実することや、１年中咲くため、在来種のタンポポ(北海道では
エゾタンポポ)が追いやられ、姿を消しつつある。最近では登山者の靴などに種が付き、高山に運ばれ
生育し、高山植物の脅威になっている。

アカミタンポポもヨーロッパ原産の帰化植物で、セイヨウタンポポに似る。大きな違いはそう果が赤みを
帯びること。セイヨウタンポポは灰褐色。

花期：４〜１０月　　分布：日本全土

参考資料
改訂版監修　林弥栄　『山溪ハンディ図鑑１　増補改訂新版　野に咲く花』　山と溪谷社　２０１３年３月３０日
改訂版監修　門田裕一　『山溪ハンディ図鑑２　増補改訂新版　山に咲く花』　山と溪谷社　２０１３年３月３０日
梅沢俊　『北海道の草花』　北海道新聞社　２０１８年６月３０日　初版

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

５月になると、札幌近郊の公園、田畑の畦道、牧草地などでは、セイヨウタンポポが絨毯を敷きつめた
ように咲く。どこまでも広がる黄色の絨毯は、牧場の厩舎・サイロ、残雪を頂く山々などを背景にすると
北の大地らしい美しい風景として多くの人を魅了する。しかし、在来種のことを考えると、喜んでばかりは
いられない。

セイヨウタンポポの葉は軸まで切れ込む
セイヨウタンポポは総苞外片は 下方に反り返る	セイヨウタンポポの 蕾みの総苞外片も 下方に反り返る
2004.5.19　江別市　野幌森林公園　Nikon COOLPIX995

そう果
セイヨウタンポポは灰褐色	アカミタンポポは赤褐色
2004.5.30　石狩市　はまなすの丘公園 Nikon COOLPIX995

.

江別市の野幌森林公園や恵庭市の恵庭公園などでは、エゾタンポポとセイヨウタンポポの中間種と
思われる個体が普通に見られる。中間種は、在来種のエゾタンポポに似るが、総苞外片がやや離れて
つく傾向があるように思われる。

エゾタンポポとセイヨウタンポポの中間種
高さが４０センチに達することは珍しくない。強い風にも、しなるようにして耐える。 総苞外片は下方にやや反りかえり、葉は軸の中ほどまで切れ込む。  2019.5.19江別市　野幌森林公園
この中間種の高さは４０センチに達する。 セイヨウタンポポは、地面をマット状に 低く広がる傾向がある。↑のような個体を 見つけたら、中間種と考え観察してみるとよい。	総苞外片は下方にやや反りかえる。
つぼみの総苞外片は、内片が開く前から 下方に離れ、やや広がる。	葉の切れ込みは、個体差があるが ↑は変異が大きいように思われる。
2004.5.19 江別市　野幌森林公園 Nikon COOLPIX995

最終更新日：２０１９年８月２０日